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7月15日、大阪梅田のヨドバシカメラ前。
21歳、大学4年の寺田ともかさんのスピーチが、多くの人の共感を呼びました。

長くなりますが、彼女のスピーチ内容を掲載します。

↓↓↓

こんばんは。
今日、私、本当に腹が立ってここに来ました。
国民の過半数が反対している中で、法案を無理やり通したという事実は、まぎれもなく独裁です。
だけど私、今この景色に本当に希望を感じています。
大阪駅前が、こんな人で埋め尽くされているのを見るの、私初めてです。

この国が独裁を許すのか、民主主義を守り抜くのかは、今、私たちの声にかかっています。
先日、アベ首相はインターネット番組の中で、こういう例を挙げていました。
「ケンカが強くて、いつも自分を守ってくれている友達のアソウ君が、いきなり不良に殴り掛かられたときには、一緒に反撃するのは当たり前ですよね」って。
ぞーっとしました。

この例を用いるのであれば、この話の続きはどうなるのでしょう。
友達が殴り掛かられたからと、一緒に不良に反撃をすれば、不良はもっと多くの仲間を連れて攻撃してくるでしょう。
そして、暴力の連鎖が生まれ、不必要に周りを巻き込み、関係のない人まで命を落とすことになります。
この例えを用いるのであれば、正解はこうではないでしょうか。
なぜ彼らが不良にならなければならなかったのか。
そしてなぜ、友達のアソウ君に殴り掛かるようなマネをしたのか。
その背景を公表し、暴力の連鎖を防ぐために、不良が生まれる社会構造を変えること、それがこの国が果たすべき役割です。

この法案を支持する人たち、あなたたちの言うとおり、テロの脅威が高まっているのは本当です。
テロリストたちは、子どもが教育を受ける権利も、女性が気高く生きる自由も、そして命さえも奪い続けています。
しかし彼らは、生まれつきテロリストだったわけではありません。
なぜ彼らがテロリストになってしまったのか。その原因と責任は、国際社会にもあります。

9・11で3000人の命が奪われたからと言って、アメリカはその後正義の名のもとに130万人もの人の命を奪いました。
残酷なのはテロリストだけではありません。

わけの分からない例えで国民を騙し、本質をごまかそうとしても、私たちは騙されないし、自分の頭でちゃんと考えて行動します。

「日本を守ってもらってばかりではいけないんだ」と「戦う勇気を持たなければならないんだ」と、アベさんは言っていました。
だけど私は、海外で人を殺すことを肯定する勇気なんてありません。
かけがえのない自衛隊員の命を、国防にすらならないことのために消費できるほど、私は心臓が強くありません。
私は、戦争で奪った命をもとに戻すことができない。
空爆で破壊された街を建て直す力もない。
日本の企業が作った武器で子どもたちが傷ついても、その子たちの未来に、私は責任を負えない。
大切な家族を奪われた悲しみを、私はこれっぽっちも癒せない。
自分が責任の取れないことを、あの首相のように「私が責任を持って」とか「絶対に」とか「必ずや」とか威勢のいい言葉でごまかすことなんてできません。

アベ首相、二度と戦争をしないと誓ったこの国の憲法は、あなたの独裁を認めはしない。
国民主権も、基本的人権の尊重も、平和主義も守れないようであれば、あなたは最早この国の総理大臣ではありません。

民主主義が、ここにこうやって生きている限り、私たちはあなたを権力の座から引きずり下ろす権利があります。
力があります。

あなたは、この夏で辞めることになるし、私たちは来年また戦後71年目を無事に迎えることになるでしょう。

アベ首相、今日あなたは偉大なことを成し遂げたという誇らしい気持ちでいっぱいかもしれません。
けれど、そんな束の間の喜びは、この夜、国民の声によって吹き飛ばされることになります。

昨日テレビのニュースで、東京の日比谷音楽堂が、戦争に反対する人でいっぱいになったのを見ました。
足腰が弱くなったおじいさんやおばあさんが暑い中、わざわざ外に出て、震える声で拳を突き上げて戦争反対を叫んでる姿を見ました。
この70年間、日本が戦争をせずに済んだのは、こういう大人たちがいたからです。
ずっと、こうやって闘ってきてくれた人たちがいたからです。
そして、戦争の悲惨さを知っている人たちが、ずっとそうあり続けてきたのは、紛れもなく私の、私たちのためでした。

ここで終わらせるわけにはいかないんです。
私たちは、戦後を続けていくんです。
武力では平和を保つことができなかった、という歴史の反省の上に立ち、憲法9条という新しくて最も賢明な安全保障のあり方を続けていくんです。

私は、この国が武力を持たずに平和を保つ、新しい国家としてのモデルを国際社会に示し続けることを信じます。

偽りの政治は長くは続きません。
そろそろここで終わりにしましょう。
新しい時代を始めましょう。

2015年7月15日、私は安保法案の強硬採決に反対します。
ありがとうございました。